2023.03.24
靴づくり編6_グッドイヤー製法その④ コバ決め
ヒールや底やウエルトの断面<側面>の部分をコバと呼びます。
例えば、ここを削るカッターはコバカッター、ここに塗るインクはコバインクです。
写真の様に切りっぱなしの状態になっている断面を段階的に削っていきます。
全ての工程に言えることですが、効率よく綺麗に仕上げる事が目的なので、他にも色々なやり方があると思います。
以下は、現状オリエンタルシューズがそうしているという程度に、ご理解願います。
最初は粗目のサンドペーパーで全体を削ります
革のささくれを面取り
粗削りが完了しました。
これがコバカッターです。
出番を待っているコバカッターの刃
鋭い刃物が高速で回っているので声をかけるのも憚られます。
コバの出っ張り具合は靴の印象を大きく左右するのですが、カッターにゲージ等は付いておらず、見た目の感覚で削っていきます。
先日、ある宮大工様のお話を聞く機会があったのですが、「まっ平に削った板は中央が窪んで見える、端の方を2~3回カンナ掛けすると平らに見える」と仰っていました。
どうやら人間の目は、錯覚しやすい物のようですね。
コバの出っ張り具合も、角度や幅を均等にすると野暮ったく見えてしまいます。
寸法的には不揃いになっても、熟練作業者が感覚で削ると、いい感じに仕上がります。
手仕事の価値って、案外こんな事なのかもしれません
このモデルは、コバの上下を少し「爪出し」する仕様で、それ用の刃を使います。
丸く仕上げる所は丸い刃で
目の細かいサンドペーパーでヒール部分を整えます。
硬化剤を塗って、
さらに番手の細いもので滑らかにします。
前の部分にも硬化剤を塗って
こちらはカッターで仕上げます。
ヒールの接地面には摩耗を軽減するために、革のヒールにはゴム製のヒールトップが付けられるのが一般的ですが、このモデルはヒールトップの後半がゴム、前半が革の仕様なので革部分に釘を打ちます。
釘の頭を切って
打ち込みます。
因みに釘は真鍮ですが、見た目がいいのと錆びにくいからでしょう。 それと頭を切るのも華奢に見せる為ですが、石やタイルなどの固い路面で滑りにくくする意味もあります。
コバ形が整いました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
次回グッドイヤー編最終回では、コバと底面の仕上げ工程をご紹介します。