2024.02.08
靴づくり編8_ステッチダウン製法①
久しぶりの靴づくり編になりますが、
ステッチダウン製法について2回に分けてご紹介したいと思います。
今回はラスティングまでです。
因みに今回とりあげるのはKOTOKAの商品です。
KOTOKA は奈良の⾰靴メーカー7社が共同で開発したブランドです。
その内、我々が担当している商品は栃木レザーのヌメ革(タンニンのみで鞣された革)を一枚仕立て(裏がついていない)にしてステッチダウン製法で作っています。
ラスティングの準備作業として、中底とアッパーに糊を塗って
ラストに中底とアッパーを仮止めします。
〈参考)
上の参考写真は、ステッチダウンでない靴の中底を仮止めした状態ですが、
下のステッチダウンの中底はラストからはみ出していることに注目して下さい
アッパーをラストに仮止めして
前部分のラスティングですが、セメンテッドやグッドイヤーはラストの内方向にラスティングするのに対して、ステッチダウンではラストの外方向にラスティングします。
少し特徴的な作り方だと言えるでしょう。
当然ラスティングマシーンもこの製法専用のもので、簡単に機械の動きを説明しますと
上の写真のブーメラン2枚を組み合わせたような鉄板がワイパー。その下に幅の広い洗濯バサミの様な物が見えるかと思いますが、これがピンサー。
中央のおむすび形の少し錆びているパーツがテーブルです。
まずピンサーでアッパーをつまんで固定し、次にテーブルが上昇(10㎜位)し
ワイパーが締まります。
以下は実際の作業です。
① ピンサーでアッパーをつまんで固定する
② テーブルが持ち上がってアッパーにテンションが掛かりラストにフィットする
③ ワイパーが締まってラストからはみ出しているところの中底にアッパーを糊付けする。
前部分ラスティング後
トーラスターはCERIM社製でもう何十年も使っています。
弊社では、ヒール回りとサイドは手作業でラスティングします。
余分な革を切り落とします。
ラスティング終了です。
次回②ではダシ縫いからコバ仕上げの工程を紹介させて頂きます。